○広尾町職員懲戒処分等に関する指針
令和2年12月28日
訓令第11号
庁中一般
出先機関一般
第1 目的
広尾町職員の懲戒処分等を厳正かつ公正に行うため、処分の量定を決定するに当たっての指針を次のとおり定めるものとする。
第2 基本事項
1 この指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。
具体的な処分量定の決定に当たっては、次の各号に掲げるもののほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。ただし、個別の事案の内容によっては、標準例(別表)に掲げる処分の種類以外とすることもあり得る。
また、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているか
(6) 上司への報告はあったか
2 標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合
(1) 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
(2) 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
(3) 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
(4) 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
(5) 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
3 標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合
(1) 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
(2) 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
4 起訴された場合の措置
任命権者は、職員が非違行為を理由として起訴された場合は、直ちに当該職員を休職にするものとする。この場合において、懲戒処分等は、裁判の経過に応じて決定するものとする。
第3 懲戒処分等の種類
1 懲戒処分
地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条及び職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和42年条例第31号)の規定により行う次の処分をいう。
(1) 免職 職員としての職を失わせる処分
(2) 停職 6月以下の範囲内で職務に従事させない処分
(3) 減給 6月以下の範囲内で給料の10分の1以内を減ずる処分
(4) 戒告 職員の非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分
附 則
この指針は、令和3年4月1日から施行する。
別表(標準例)
非違行為の種類 | 非違行為の具体 | 懲戒処分の種類 | |
1 一般服務関係 | |||
(1) 欠勤 | ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた場合 | 減給又は戒告 | |
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた場合 | 停職又は減給 | ||
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた場合 | 免職又は停職 | ||
(2) 遅刻・早退 | 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた場合 | 戒告 | |
(3) 休暇の虚偽申請 | 病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした場合 | 減給又は戒告 | |
(4) 勤務態度不良 | 勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた場合 | 減給又は戒告 | |
(5) 職場内秩序を乱す行為 | ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した場合 | 停職又は減給 | |
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した場合 | 減給又は戒告 | ||
(6) 虚偽報告 | 事実をねつ造して虚偽の報告を行った場合 | 減給又は戒告 | |
(7) 違法な職員団体活動 | ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は町の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした場合 | 減給又は戒告 | |
イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった場合 | 免職又は停職 | ||
(8) 秘密漏えい | ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | 免職又は停職 | |
自己の不正な利益を図る目的 | 免職 | ||
イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | 停職、減給又は戒告 | ||
(9) 政治的目的を有する文書の配布 | 政治的目的を有する文書を配布した場合 | 戒告 | |
(10) 兼業の承認等を得る手続きのけ怠 | 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他の事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続きを怠り、これらの兼業を行った場合 | 減給又は戒告 | |
(11) 入札談合等に関与する行為 | 町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った場合 | 免職又は停職 | |
(12) 個人の秘密情報の目的外収集 | その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した場合 | 減給又は戒告 | |
(13) 公文書の不適切な取扱い | ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した場合 | 免職又は停職 | |
イ 決裁文書を改ざんした場合 | 免職又は停職 | ||
ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた場合 | 停職、減給又は戒告 | ||
(13) 事務処理等の不適正 | ア 故意又は重大な過失により職務を怠ったことにより損害を生じさせ又は事故を引き起こした場合 | 免職又は停職 | |
イ 職務の遂行に関し、法令等に明らかに違反し、又は法令等の適用・解釈を誤ったことにより、著しく町又は町民等への損害、不利益等を与えた場合 | 減給又は戒告 | ||
ウ 注意力に散漫があり不適切な事務(業務)処理を繰り返したことにより、公務の運営に支障を生じさせた場合 | 減給又は戒告 | ||
(15) セクシュアル・ハラスメント ※1 | ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした場合 | 免職又は停職 | |
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した場合 | 停職又は減給 | ||
執拗に繰り返したことにより相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた場合 | 免職又は停職 | ||
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った場合 | 減給又は戒告 | ||
(16) パワー・ハラスメント ※2 | ア パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた場合 | 停職、減給又は戒告 | |
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した場合 | 停職又は減給 | ||
ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた場合 | 免職、停職又は減給 | ||
(注) (15)及び(16)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等とも情状として考慮の上判断するものとする。 | |||
2 公金官物取扱い関係 | |||
(1) 横領 | 公金又は官物を横領した場合 | 免職 | |
(2) 窃取 | 公金又は官物を窃取した場合 | 免職 | |
(3) 詐欺 | 人を欺いて公金又は官物を交付させた場合 | 免職 | |
(4) 紛失 | 公金又は官物を紛失した場合 | 戒告 | |
(5) 盗難 | 重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った場合 | 戒告 | |
(6) 官物損壊 | 故意に職場において官物を損壊した場合 | 減給又は戒告 | |
(7) 失火 | 過失により職場において官物の出火を引き起こした場合 | 戒告 | |
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給 | 故意に法令に違反して諸給与を不正に受給した場合及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した場合 | 減給又は戒告 | |
(9) 公金官物処理不適正 | 自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした場合 | 減給又は戒告 | |
(10) コンピュータの不適正使用 | 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた場合 | 減給又は戒告 | |
2 公務外非行関係 | |||
(1) 放火 | 放火をした場合 | 免職 | |
(2) 殺人 | 殺人をした場合 | 免職 | |
(3) 傷害 | 人の身体を傷害した場合 | 停職又は減給 | |
(4) 暴行・けんか | 暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかった場合 | 減給又は戒告 | |
(5) 器物損壊 | 故意に他人の物を損壊した場合 | 減給又は戒告 | |
(6) 横領 | ア 自己の占有する他人の物を横領した場合 | 免職又は停職 | |
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合 | 減給又は戒告 | ||
(7) 窃取・強盗 | ア 他人の財物を窃取した場合 | 免職又は停職 | |
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した場合 | 免職 | ||
(8) 詐欺・恐喝 | 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた場合 | 免職又は停職 | |
(9) 賭博 | ア 賭博をした場合 | 減給又は戒告 | |
イ 常習として賭博をした場合 | 停職 | ||
(10) 麻薬等の所持等 | 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした場合 | 免職 | |
(11) 酩酊による粗野な言動等 | 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした場合 | 減給又は戒告 | |
(12) 淫行 | 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした場合 | 免職又は停職 | |
(13) 痴漢行為 | 公共の場所又は乗物において痴漢行為をした場合 | 停職又は減給 | |
(14) 盗撮行為 | 公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした場合 | 停職又は減給 | |
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係 広尾町職員の交通法規違反並びに交通事故者等の審査及び処分基準(平成3年訓令第5号)による。 (注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。 | |||
5 監督責任関係 | |||
(1) 指導監督不適正 | 部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた場合 | 減給又は戒告 | |
(2) 非行の隠ぺい、黙認 | 部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した場合 | 停職又は減給 | |
※1 別表中、第1項第15号のセクシュアル・ハラスメントとは、職場におけるハラスメントの防止等に関する要綱(令和2年訓令第12号。以下「要綱」という。)第2条第1項第4号イに規定するセクシュアル・ハラスメントをいう。
※2 別表中、第1項第16号のパワー・ハラスメントとは、要綱第2条第1項第4号アに規定するパワー・ハラスメントをいう。
標準例一覧
事由 | 免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | ||||
1 一般服務関係 | (1) 欠勤 | |||||||
ア 10日以内 | ● | ● | ||||||
イ 11日以上20日以内 | ● | ● | ||||||
ウ 21日以上 | ● | ● | ||||||
(2) 遅刻・早退 | ● | |||||||
(3) 休暇の虚偽申請 | ● | ● | ||||||
(4) 勤務態度不良 | ● | ● | ||||||
(5) 職場内秩序を乱す行為 | ||||||||
ア 暴行 | ● | ● | ||||||
イ 暴言 | ● | ● | ||||||
(6) 虚偽報告 | ● | ● | ||||||
(7) 違法な職員団体活動 | ||||||||
ア 単純参加 | ● | ● | ||||||
イ あおり・そそのかし | ● | ● | ||||||
(8) 秘密漏えい | ||||||||
ア 故意の秘密漏えい | ● | ● | ||||||
自己の不正な利益を図る目的 | ● | |||||||
イ 情報セキュリティ対策のけ怠による秘密漏えい | ● | ● | ● | |||||
(9) 政治的目的を有する文書の配布 | ● | |||||||
(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠 | ● | ● | ||||||
(11) 入札談合等に関与する行為 | ● | ● | ||||||
(12) 個人の秘密情報の目的外収集 | ● | ● | ||||||
(13) 公文書の不適正な取扱い | ||||||||
ア 偽造・変造・虚偽公文書作成、毀棄 | ● | ● | ||||||
イ 決裁文書の改ざん | ● | ● | ||||||
ウ 公文書の改ざん・紛失・誤廃棄等 | ● | ● | ● | |||||
(14) 事務処理等の不適正 | ● | ● | ||||||
(15) セクシュアル・ハラスメント | ||||||||
ア 強制わいせつ、上司等の影響力利用による性的関係・わいせつな行為 | ● | ● | ||||||
イ 意に反することを認識の上でのわいせつな言辞等の性的な言動の繰り返し | ● | ● | ||||||
執拗な繰り返しにより強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させたもの | ● | ● | ||||||
ウ 意に反することを認識の上でのわいせつな言辞等の性的な言動 | ● | ● | ||||||
(16) パワー・ハラスメント | ||||||||
ア 著しい精神的又は身体的な苦痛を与えたもの | ● | ● | ● | |||||
イ 指導、注意等を受けたにもかかわらず、繰り返したもの | ● | ● | ||||||
ウ 強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させたもの | ● | ● | ● | |||||
2 公金官物取扱い | (1) 横領 | ● | ||||||
(2) 窃取 | ● | |||||||
(3) 詐取 | ● | |||||||
(4) 紛失 | ● | |||||||
(5) 盗難 | ● | |||||||
(6) 官物損壊 | ● | ● | ||||||
(7) 失火 | ● | |||||||
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給 | ● | ● | ||||||
(9) 公金官物処理不適正 | ● | ● | ||||||
(10) コンピュータの不適正使用 | ● | ● | ||||||
3 公務外非行関係 | (1) 放火 | ● | ||||||
(2) 殺人 | ● | |||||||
(3) 傷害 | ● | ● | ||||||
(4) 暴行・けんか | ● | ● | ||||||
(5) 器物破損 | ● | ● | ||||||
(6) 横領 | ||||||||
ア 横領 | ● | ● | ||||||
イ 遺失物等横領 | ● | ● | ||||||
(7) 窃盗・強盗 | ||||||||
ア 窃盗 | ● | ● | ||||||
イ 強盗 | ● | |||||||
(8) 詐欺・恐喝 | ● | ● | ||||||
(9) 賭博 | ||||||||
ア 賭博 | ● | ● | ||||||
イ 常習賭博 | ● | |||||||
(10) 麻薬等の所持等 | ● | |||||||
(11) 酩酊による粗野な言動等 | ● | ● | ||||||
(12) 淫行 | ● | ● | ||||||
(13) 痴漢行為 | ● | ● | ||||||
(14) 盗撮行為 | ● | ● | ||||||
4 飲酒運転・交通事故・交通違反 | (1) 飲酒運転 | |||||||
ア 酒酔い | ● | ● | ||||||
人身事故あり | ● | |||||||
イ 酒気帯び | ● | ● | ● | |||||
人身事故あり | ● | ● | ||||||
措置義務違反あり | ● | |||||||
ウ 飲酒運転者への車両提供、飲酒運転車両への同乗行為等 | ● | ● | ● | ● | ||||
※飲酒運転をした職員の処分量定、飲酒運転への関与の程度等を考慮し決定 | ||||||||
(2) 飲酒運転以外での人身事故 | ||||||||
ア 死亡又は重篤な傷害 | ● | ● | ● | |||||
措置義務違反あり | ● | ● | ||||||
イ 傷害 | ● | ● | ||||||
措置義務違反あり | ● | ● | ||||||
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反 | ||||||||
著しい速度超過等悪質な交通法規違反 | ● | ● | ● | |||||
物損・措置義務違反あり | ● | ● | ||||||
5 監督責任 | (1) 指導監督不適正 | ● | ● | |||||
(2) 非行の隠ぺい、黙認 | ● | ● | ||||||