○学校における働き方改革広尾町アクション・プラン

平成30年6月28日

教委告示第2号

Ⅰ.はじめに

現在、学校には、未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成することを目指す学習指導要領のねらいや社会からの要請等を踏まえ、児童生徒に対する指導を一層充実させることが期待されており、その実現に向けては、教員が授業や授業準備等に集中し、健康でいきいきとやりがいをもって勤務しながら、学校教育の質を高められる環境を構築することが必要です。

しかしながら、北海道教育委員会が、平成28年度に実施した「教職員の時間外勤務等に係る実態調査」の結果では、1週間当たりの勤務時間が60時間を超える者の割合が、教諭については、小学校で2割、中学校では4割、高等学校では3割を超えています。

また、教頭に至っては、小・中学校とも7割、高等学校では6割を超えています。

教員が健康でやりがいを持って働くことができる環境を整え、子どもたちと向き合う時間を確保することは大変重要であり、教員の負担を軽減する取組の実行が求められています。

広尾町教育委員会においても、校長会からの提案等を受け、学校完全閉庁日や祝休日の対応を進めてきましたが、北海道教育委員会の取組を参考にしながら校長会及び教頭会とも、学校現場の業務改善に向けた取組に関して、更なる協議を進めてきました。

本稿では、この協議を踏まえ、広尾町教育委員会と学校が取り組んでいく必要がある事項を整理しました。

1 アクション・プランの性格

・本プランは、町内全ての学校が働き方改革を進めるために、教育委員会が計画等や所管する学校に勤務する教員に係る勤務時間の上限に関する方針等を策定するものです。

・本プランについては、今後の北海道の動向や学校における取組状況などを見極めながら、必要に応じて適宜見直しを行います。

2 取組の方向性

・これまでの働き方を見直し、教員が業務の質を高めるとともに、日々の生活や教職人生を豊かにすることで、自らの専門性や人間性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行い教育の質を高めるという、働き方改革の目指す理念を共有しながら、取組を実行します。

・「学校における働き方改革」は、学校はもとより、国、北海道、町、更には家庭、地域等を含めた全ての関係者がそれぞれの立場で、学校種による勤務態様の違いや、毎日子どもと向き合う教員という仕事の特性も考慮しつつ、その解決に向けて取り組んでいくことが重要です。

3 アクション・プランの目標及び期間

本プランに掲げる取組を成果の検証を行いながら着実に進めるため、次のとおり目標を設定し、取組期間は平成30年度から令和2年度までの3年間とします。

教員の在校等時間から条例で定める勤務時間等を減じた時間を1か月45時間以内、1年間で360時間以内とします。

※1 児童生徒等に係る臨時的な特例の事情により勤務せざるを得ない場合についても、1年間で720時間を超えないようにするとともに、1か月で45時間を超える月は1年間に6月までとします。

※2 また、1か月では100時間未満であるとともに、連続する複数月のそれぞれの期間について、月平均が80時間を超えないようにします。

※3 「目標」は、「Ⅶ 教員の勤務時間の上限について」の1(2)の②の目安時間と同一。

※4 「在校等時間」は、Ⅶの(2)の①によります。

この目標を達成するため、教育委員会は、毎年度、進捗状況を把握し、学校における働き方改革の取組を検証しながら、具体的な学校経営指導に努めます。また、学校は、時間外勤務等の実態を踏まえ、実情に応じた取組を主体的に検討し、実施していくこととします。

【働き方改革を進めるため、令和2年度末に目指す指標】

1 部活動休養日を完全に実施(年間113日)している部活動の割合 ・・100%

2 変形労働時間制を活用している学校の割合 ・・・・・・・・・・・・100%

3 定時退勤日を月2回以上実施している学校の割合 ・・・・・・・・・100%

4 学校閉庁日を年9回以上実施している学校の割合 ・・・・・・・・・100%

4 推進体制と取組の検証・改善

(1) 現在の取組

教育長を委員長とし、町内小・中学校の校長・教頭、教育委員会管理課課長、係長で構成する「広尾町学校における働き方改革推進委員会」を設置するとともに、本プランの推進に向け、取組の進捗状況の管理、検証を行い、必要に応じて取組の見直しを検討します。

(2) 今後の検討課題

「広尾町学校における働き方改革推進委員会」で取組の検証結果を基に、有効な事例を各学校で共有・実践し、その取組の進捗状況を把握します。

5 保護者や地域住民等への理解促進

教員の長時間労働を改善し、教員が授業や授業準備等に集中し、健康でいきいきとやりがいをもって勤務することができる環境を整備することが、学校教育の質の向上につながります。子どもたちに対する教育は、学校、家庭、地域が連携協力して進めなければならず、その基礎となるのは信頼関係や共通認識であり、学校における働き方改革の取組について、保護者や地域住民等にも理解を深めてもらう必要があります。

このため、各学校においては、保護者や地域住民等に対し、適切に説明責任を果たし、その理解と協力を得るためにも、業務改善や教員の働き方改革について、学校評価に明確に位置付けるなどするとともに、教育委員会においても、広尾町PTA連合会と連携するなどしながら、学校における働き方改革について、保護者や地域住民等への普及啓発を進めていきます。

Ⅱ.本来担うべき業務に専念できる環境の整備

1 「チーム学校」の実現に向けた専門スタッフ等の配置促進

(1) 現在の取組

・学校生活での不便さを抱える児童生徒に対する補助として、教員補助員を小学校6名、中学校に2名配置しています。

・中学校の英語・数学へ苦手意識を抱える生徒への補助として、教科指導助手2名を配置しています。

・北海道スクールカウンセラー活用事業、北海道スクールソーシャルワーカー活用事業を活かし、小中学校児童生徒への相談に対して、専門的な支援を行っております。

・免許外教科担任の解消に向けて、非常勤講師の派遣を北海道教育委員会に要望しています。

(2) 今後の検討課題

・広尾町中高一貫教育による中高の乗り入れ授業を行っておりますが、小学校へ専門性のある教員の派遣を検討していきます。

2 ICTの活用促進

(1) 現在の取組

・全教職員のパソコン等を平成28年度に更新し、情報の共有化や業務の効率化を図っています。

・全ての小中学校にNTTのクラウド教材を配信し、授業で活用し、教職員の業務負担軽減を図っています。

(2) 今後の検討課題

・タブレットの導入を推進していくとともに、これまで導入したICT機器の利活用充実に努めていきます。

3 地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくりの推進

(1) 現在の取組

・コミュニティ・スクール実施に向けて、地域住民と教職員による熟議とアンケートの取組を行い、平成31年1月から各小中学校へ学校運営協議会を設置しました。

(2) 今後の検討課題

・全ての学校の運営協議会と、地域とともにある学校づくりを目指していきます。

4 学校給食及びその他の学校徴収金の徴収・管理業務の負担軽減

(1) 現在の取組

・学校給食費の徴収・管理の業務は、学校給食センターが行っており、教職員への徴収事務等による負担にはなっておりません。

・その他教材費等の徴収事務等は、大きな負担にはなっておりません。

(2) 今後の検討課題

・その他教材費等の徴収事務等は、納入意識の高揚に努めます。

Ⅲ.部活動指導にかかわる負担の軽減

1 部活動休養日等の完全実施

(1) 現在の取組

・テスト期間前の部活動を休止しています。(定期テスト3日前)

・学校完全閉庁日を年末年始休暇以外に年間3日以内で設け、部活動休養日としています。

① 部活動休養日の実施

・毎週2日以上は、休養日を実施する(平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。)(年間104日以上)

・学校閉庁日は部活動休養日とする(夏季・冬季休業期間内で合わせて3日、年末年始の休日6日)

・上記を基本に1年に113日の休養日を実施する

週2日(2日×52週)+学校閉庁日9日=113日

※1 休養日には朝練習を行わないこと。学校では自主練習は行わない

※2 大会やコンクール等の前で、やむを得ず活動を行う場合(※4)は、代替の休養日を実施する

②部活動の活動時間

・平日は2時間程度で終了する(生徒の最終下校時刻を設定)

・土曜日、日曜日、祝日及び長期休業期間中は、次の※3、※4に該当する場合を除き、3時間程度で終了する

・※3、※4に該当する場合は、長くとも平日では3時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む。)は4時間程度とし、1週間の活動時間は、長くとも16時間程度とする。

※3 大会やコンクール等への出場、練習試合、合宿を行う場合

※4 中体連が主催する大会、コンクール等の日の前日から起算して1か月以内の期間の場合

(2) 今後の検討課題

・中体連や中文連等と連携、協力して、部活動休養日の完全実施などの取組を進めるとともに、競技団体、文化団体等に対して、大会やコンクール等の見直しを要請します。

・中学校においては、出場する大会やコンクール等を精選するよう努めます。

・大会・コンクール等の主催者に対して、部活動指導員による引率や、複数の学校による合同チーム、地域スポーツクラブ等の大会参加が可能となるよう、関係規程の改正等を行うよう要請します。

2 外部指導者の活用

(1) 現在の取組

・部活動の充実と技術指導面や精神面における教員の負担軽減を図るため、外部指導者を配置しています。

(2) 今後の検討課題

・部活動指導員の制度化を広く周知し、各種大会や練習試合等への生徒引率も可能な部活動指導員の配置を検討します。

3 複数顧問の効果的な活用

(1) 現在の取組

・1人の教職員に過度の負担がかからないように、複数顧問を配置しています。

(2) 今後の検討課題

・学校の規模に応じて部活動数を適正に配置するとともに、生徒がスポーツ等を行う機会が失われることのないよう複数の学校や広尾高校による合同部活動等を積極的に進めていきます。

Ⅳ.勤務時間を意識した働き方の推進と学校運営体制の充実

1 ワークライフバランスを意識した働き方の推進

(1) 現在の取組

・管理職や教職員に対して、勤務時間について改めて意識を持って勤務するよう、意識啓発を図っています。

(2) 今後の検討課題

・月2回以上の「定時退勤日」を設定します。

・退庁時間(午後8時)を設定します。

2 人事評価制度等を活用した意識改革の促進

(1) 現在の取組

・現在は取り組んでいません。

(2) 今後の取組

・教育委員会は、町立学校における働き方改革に向けた取組状況を管理職員の人事評価に反映することとし、各学校においては、校長が定める「学校経営方針」や「重点目標」等に自校における働き方改革に関する視点を盛り込むとともに、管理職員の業績評価に係る目標設定に当たっては、所属職員の働き方改革に向けたマネジメントに関する目標として、例えば、時間外勤務等の縮減や年次有給休暇の取得促進に関する目標等を設定することとします。

また、教育委員会は、管理職員だけでなく、学校の職員全体に対しても勤務時間を意識した働き方を浸透させるため、働き方に関する研修の実施を検討するとともに、職員一人一人の働き方改革の意識をもって進めるため、人事評価の面談において管理職員が職員と業務改善に向けた意識の共有を図るとともに、職員自ら考えて主体的に働き方改革を進めるよう促すなどして、全職員で取り組むことや1週間当たりの勤務時間が60時間を超える職員に対しては、管理職員が当該職員と業務全般の内容や優先順位等を協議しながら、時間外勤務の縮減方策を具体的に定めるなどして、適切な勤務時間となるよう取り組みます。

3 長期休業期間中における「学校閉庁日」の設定

(1) 現在の取組

・年末年始期間は、実質学校閉庁日と同様の対応となっています。

・各学校が夏季・冬季休業期間内で合わせて3日の学校閉庁日(年間9日間)を設定し、教職員の年次有給休暇を取得しやすい環境を整えています。

(2) 今後の検討課題

・有給休暇の取得しやすい環境整備に努めます。

4 勤務時間を客観的に把握する仕組みの構築

(1) 現在の取組

・勤務時間の管理については、労働安全衛生法の改正により、校長や服務監督権者である教育委員会等に求められている責務であることが明確化されたことを踏まえ、エクセルにより開発したプログラムにより勤務時間を把握しています。

(2) 今後の検討課題

・個別の勤務時間の把握により、職員間の勤務の平準化を目指します。

5 留守番電話やメールによる連絡対応等

(1) 現在の取組

・現在は取り組んでいません。

(2) 今後の取組

・教育委員会は、非常災害の場合や児童生徒等の指導に関し緊急の必要性がある場合を除き、教員が保護者や外部からの問い合わせ等への対応を理由に時間外勤務をすることのないよう、緊急時の連絡方法を確保した上で、留守番電話の設置やメールによる連絡対応等の取組を進めていきます。

6 管理職のマネジメント研修等の充実

(1) 現在の取組

・様々な機会を通じ、管理職自らが勤務時間を意識するように促し、各学校での時間外勤務縮減に向けた取組を推進しています。

(2) 今後の検討課題

・道教委が実施する各種管理職員研修に参加し、組織管理や時間管理、健康安全管理等のマネジメント研修を通じて、意識改革と実践力の向上を図ります。

・各学校管理職による、各学校での組織マネジメントの推進に努めます。

7 事務機能の強化・業務の効率化

(1) 現在の取組

・事務職員と連携を図り、効率的な事務を行っています。

・指導要録をエクセルにより毎年度、書き換えと記録の両方が出来るよう開発し、教員の事務効率化に努めています。

(2) 今後の検討課題

・教員と事務職員との一層の業務連携等により業務を見直し、事務機能の強化と業務の効率化を図ります。

・各学校管理職による、各学校での組織マネジメントの推進に努めます。

8 民間ノウハウの活用

・広尾町教育委員会では、北海道教育委員会が行っている民間コンサルタントによる働き方改革の実践事例を参考に、民間の業務改善のノウハウを学校における働き方改革に活かすため、先入観の無い外部の視点で学校の業務を点検し、具体的な業務改善の実践事業を行うよう、検討してまいります。

Ⅴ.教育委員会による学校サポートの充実

1 調査業務の見直し

(1) 現在の取組

・十勝教育局等から発信された書類(電子データ)を、そのまま送信しています。

(2) 今後の検討課題

・各種団体等から学校に対する行事への参加や作品の応募依頼等について、学校現場の負担解消のため、各種団体等への理解促進を図ります。

・各種団体の統合見直しを行い、教職員の業務負担軽減に努めます。

2 勤務管理に関する各制度の利用の徹底

(1) 現在の取組

・週休日の振替や変形労働時間制度、勤務のスライドを活用しています。

(2) 今後の検討課題

・現在の取組を継続します。

3 適正な勤務時間の設定

(1) 現在の取組

・現在、客観的なデータに基づき、職員の勤務時間を把握しています。

(2) 今後の検討課題

・教育委員会として、各学校に対し、児童生徒等の登下校時刻や、学校の諸会議等については、教職員が適正な時間に休憩時間を確保できるようにすることを含め、教職員の勤務時間を考慮した時間設定を行うよう指導・助言を行います。

・教育委員会は、各学校に対し、やむを得ず「超勤4項目」以外の業務を、早朝や夜間等、通常の勤務時間以外の時間帯に実施せざるを得ない場合には、変形労働時間制や週休日の振替などの勤務時間や休憩時間に係る諸制度を有効活用して、正規の勤務時間の割振りを適正に行うなどの措置を講ずるよう指導・助言を行います。

4 メンタルヘルス対策の推進

(1) 現在の取組

・教育委員会は、町立学校において、職員が教育活動に専念できる適切な労働環境を確保するため、労働安全衛生法に基づき、衛生推進者を選任するなど、労働安全衛生管理体制の整備しています。

・労働安全衛生法の改正により、ストレスチェック制度が平成29年度よりスタートし、公立学校共済組合において「心のセルフチェックシステム」を活用したストレス状態のチェックを行っています。

(2) 今後の検討課題

・各学校での労働安全衛生管理体制の整備促進を進め、メンタルヘルス研修などの積極的な活用を促進します。

5 教育課程の編成・実施に関する指導助言

・教育委員会は、各学校に対し、標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画することのないよう指導・助言するとともに、指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している場合には、指導体制の整備状況を踏まえて精査して教員の時間外勤務の増加につながらないようにし、教育課程の編成・実施に当たっても教員の働き方改革に十分配慮するよう指導・助言を行います。

6 保護者や地域住民等の理解を得るための取り組みの促進

(1) 現在の取組

・学校だよりを毎月発行しています。

(2) 今後の検討課題

・教員の時間外縮減の取組に対する保護者、地域住民、役場各課の理解促進を図ります。

・学校運営協議会を通して、学校からの情報発信に努め、地域からの協力による業務軽減に努めます。

7 トラブル等に直面した際のサポート体制の構築

(1) 現在の取組

・教育委員会では、生徒指導上の諸問題で、学校だけで解決が困難な事案の対応にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、問題解決に取り組んでいます。

(2) 今後の検討課題

・教育委員会は、学校が児童虐待や生徒指導上の諸課題に直面した際に適切に対応することができるよう福祉部局等との緊急時における連絡体制の確立や会議による情報共有などにより、関係機関との連携・協力体制を強化します。

また、児童生徒の生命・身体の安全を脅かすなど緊急な対応が必要な事案等が発生した場合に、心理的、福祉的、法的側面など、専門的な見地からの助言や支援を行うため、学識経験者や弁護士、医師などで構成する「広尾町いじめ等問題対策委員会(仮称)」の設置に努力します。

8 若手教員への支援

(1) 現在の取組

・各学校では、メンター研修等を通して、若手教員の指導や相談に応じるとともに、管理職員等より働き方改革の観点から適宜アドバイスをしています。

(2) 今後の検討課題

・若手教員への声掛け等を行うとともに、ネットワーク等を生かして優れた教材や指導案等の様々な蓄積を共有して支援するなど、若手教員が孤立することのないように努めます。

9 学校行事の精選・見直し

・教育委員会は、各学校に対し、文部科学省が提示する予定の取組例を参考とするなどして、学校行事の精選や内容の見直しの取組を推進するよう促していきます。

10 学校の組織運営に関する見直し

(1) 現在の取組

・教育委員会は、学校関係補助団体等について、類似の内容を扱う団体等については、業務の整理や統合など、団体の業務内容及び配置等の適正化に向けて検討を行っています。

(2) 今後の検討課題

・団体等の現状を把握し、必要性について検証を行う必要があります。

Ⅵ.教員の勤務時間の上限について

・教員の勤務時間に関しては、文部科学省が平成31年1月25日に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」において、服務監督権者である教育委員会は、ガイドラインを参考にしながら所管内の公立学校の教員の勤務時間の上限に関する方針等を策定することとされたことから、広尾町教育委員会は、本項に町立学校の教員の勤務時間の上限について定めます。

・広尾町教育委員会は、次に定める勤務時間の上限の目安時間を越えないように、業務の削減や勤務環境の整備を進めます。

・各町立学校は、教員の勤務時間管理や業務の役割分担の適正化、効率化等を進め、勤務時間の上限の目安時間を超えないように努力します。

(1) 対象者

「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」第2条に規定する教育職員を対象とします。

(2) 勤務時間の上限

① 「勤務時間」の考え方

いわゆる「超勤4項目」以外の業務を行う時間も含めて「勤務時間」を適切に把握するために、教職員等が校内に在校している在校時間を対象とすることを基本とする。なお、所定の勤務時間外に校内において自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う自己研鑽の時間その他業務外の時間については、自己申告に基づき除くものとします。

これに加えて、校外での勤務についても、職務として行う研修への参加や児童生徒等の引率等の職務に従事している時間については、時間外勤務命令に基づくもの以外も含めて外形的に把握し、対象として合算します。

ただし、これらの時間からは、休憩時間を除くものとします。

これらを総称して「在校等時間」とします。

② 目安時間

ア 1か月の在校等時間の総時間から、北海道学校職員の勤務時間、休憩等に関する条例(以下「条例」という。)で定めた勤務時間の総時間を減じた時間が、45時間を超えないようにします。

イ 1年間の在校等時間の総時間から条例で定めた勤務時間の総時間を減じた時間が、360時間を超えないようにします。

③ 特例的な扱い

ア 上記②を原則としつつ、児童生徒に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合についても、1年間の在校等時間の総時間から条例で定めた勤務時間を減じた時間が、720時間を超えないようにします。この場合においては、1か月の在校等時間の総時間から条例で定めた勤務時間の総時間を減じた時間が45時間を超える月は、1年間で6月までとします。

イ また、1か月の在校等時間の総時間から条例で定めた勤務時間の総時間を減じた時間が100時間未満であるとともに、連続する複数月(2か月、3か月、4か月、5か月、6か月)のそれぞれの期間について、各月の在校等時間の総時間から条例で定めた各月の在校等時間の総時間から条例で定めた各月の勤務時間の総時間を減じた時間の1か月当たり平均が、80時間を超えないようにします。

(3) 実効性の担保

① 広尾町教育委員会は、各町立学校での実施状況を把握した上で、その状況を踏まえ、勤務時間の長時間化を防ぐための業務の役割分担や適正化、必要な環境整備等の取組を実施する。特に、上限の目安時間を越えた場合には、該当校における業務や環境整備等の状況について事後的に検証を行います。

② 広尾町教育委員会は、公平委員会と認識を共有し、連携を強化します。

③ 広尾町教育委員会は、保護者も含めて社会全体が内容を理解できるよう、教育関係者はもちろん、保護者や地域住民等に対して広く周知します。

④ 広尾町教育委員会は、既存の調査等を活用しつつ、適宜、町立学校の取組の状況を把握し、公表します。

(4) 留意事項

① 本項については、上限の目安まで教員等が在校等した上で勤務することを推奨する趣旨ではなく、「学校における働き方改革」の総合的な方策の一環として作成するものであり、他の長時間勤務の削減方策と併せて取り組まれるべきものであること。決して、学校や教員等に上限の目安時間の遵守を求めるのみであってはならないこと。

② 働き方改革推進法による改正後の労働安全衛生法体系において、タイムカードによる記録、電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による勤務時間の把握が事業者の義務として明確化されたことを踏まえ、在校時間は、ICTの活用やタイムカード等により客観的に計測し、校外の時間についても、本人の報告等を踏まえてできる限り客観的な方法により計測すること。

③ 休憩時間や休日の確保等労働法制を遵守すること。また、教員等の健康及び福祉を確保するため、在校等時間が一定時間を越えた教員等への医師による面接指導や健康診断を実施すること、退勤から出勤までに一定時間を確保すること、年次有給休暇等の休日についてまとまった日数を連続して取得することを含めてその取得を促進すること、必要に応じて産業医等による助言・指導を受けるとともに、教員等に産業医等による保健指導を受けさせること。

④ 上限の目安時間の遵守を形式的に行うことが目的化し、真に必要な教育活動をおろそかにしたり、実際より短い虚偽の時間を記録に残す、又は残させたりすることがあってはならないこと。さらに、上限の目安時間を守るためだけに自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうことは、本項のそもそもの趣旨に反するものであって、厳に避けること。

(5) その他

上記(4)の②に記載する在校等時間の客観的な計測については、勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムの構築後に実施すること。

Ⅶ.その他の取組

(1) 現在の取組

・教職員の業務全般の洗い出しはしていません。

(2) 今後の検討課題

・教職員の全業務を洗い出し①教師でなければ出来ないこと、②外部機関や他の部署でできること、③削減できることに業務仕分けし、どのような方法で働き方を変化させることが出来るかを検討します。

Ⅷ.終わりに

教職員の長時間勤務の実態は看過できない状況にあり、教育の質の確保のためにも、保護者や地域を含め、子どもたちの教育に携わる全ての関係者がこうした実態を共有し、改革に向けて取り組むことが求められています。

広尾町教育委員会としましては、本稿で整理した事項のうち、改善できることは直ちに着手し、検討が必要な事項については、関係機関との協議の上、具現化していきます。

また、今後も必要に応じて、学校現場の業務改善に向けた取組を推進します。

学校における働き方改革広尾町アクション・プラン

平成30年6月28日 教育委員会告示第2号

(令和元年12月4日施行)

体系情報
第11編 育/第2章 学校教育/第1節 町立学校
沿革情報
平成30年6月28日 教育委員会告示第2号
令和元年12月4日 教育委員会告示第5号